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こどもイキイキ

NPO法人インフィーニティー主宰、
野口先生からのメッセージを掲載していきます。
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≪Vol、4≫ 「心の成長生理学④」

2010年8月25日

 今回は「感性」と「知性」について触れてみましょう。違いは何?って考えたことあります?私は小さいころ野生児のように育ってきたので、ものごとを深く考えることなく思春期に突入していてのですが、高校生の時、下級生から詩を書き留めたものを詩集にしたいとのことで挿絵をお願いされました。気安く引き受けたのですが、これがまた深い・・・。未知との遭遇?考えたこともない文章が次々と出てくるのです。私の頭の中はまるでソクラテスにでもなったかのように哲学的思考回路に・・・△?×□●☆○*???たくさんの詩の中にこんなのがありました。『「ただいま!」といって玄関のドアを開ける。何の音もない・・。薄暗く、静かな部屋の片隅に、私の感性と知性が転がっていた・・・。』
 ウ~ン。感性?知性? 私が初めて「感性」と「知性」に向き合った瞬間でした。あれから30年ちょっと。もしかしたらこれがきっかけで心理学に興味を持ったのかも。

 さて本題に。私たちの身体は内臓機能の支配のために、交感神経系と副交感神経系のニ系統がありますが、これと同じように、精神・心には「感性」と「知性」の二系統がその調整のために用意されています。「感性」が「生きる力」に対して「知性」は「生きるための手段」です。また、「感性」は「生得性」(生まれ持ったもの)で「知性」は「習得性」(生まれた後習得したもの)といわれています。どちらも大切なのですが、現在の社会では、知性優先の傾向にあり、測定できるもの、論理的に評価できるものを好み、そうでないものは否定、削除する傾向にあります。また、自分より外のものに対しては関心を示しますが、自分の内面についてはなるべく触れたくないといった性質を持っているようです。このように生きるという現実面からみると「知性」は頼りがいのあるものになってきます。ところが「知性」はコントロールを失うとやっかいです。

 私たちの脳は脳幹部を取り巻いて古・旧皮質系、更にその上に新皮質系と3重構造になっています。脳幹部は「生命の座」、古・旧皮質系は大脳辺縁系と呼ばれて「心の座」、新皮質系は大脳皮質系と呼ばれ「知能の座」です。大脳辺縁系は気力・体力を整えると同時に、知力の方向を調節する役目もあります。気力・体力がないと正しい知力の方向が調節できないのです。「感性」(生きる力)が育っていないと「知性」(生きるための手段)は方向が調節できないということです。

 私たちヒトの脳は10歳くらいまでは大脳辺縁系が中心で11歳くらいから大脳皮質系が働き出すようになっています。「感性」(生きる力)をつけていく時期に、頼りがいがあると思われがちな「知性」(生きるための手段)を早期に優先して子育てをするとどうなるか・・・ちょっと想像してみて下さい。
  次回はもっと、具体的に触れてみましょう。